第864回 YRS筑波サーキットドライビングスクール

とにかく暑かった。スタッフのクルマに搭載された外気温時計が44度だもの。

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長野県から参加してくれたアルファロメオ4Cの乗るEさんとスタッフのMとKが集合写真に間に合わなかったので卒業写真よろしく左上に。

参加した23歳から70歳まで平均年齢54.4歳の青年が暑さに負けず、午前中のイーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習に続き、奥の深いコーナーばかりの筑波サーキットコース1000で速いラップタイムを刻むべく、ひたすら走り回りました。
午後の計測ラップだけで最もたくさん走ったのはIさんとMさんの57周。操作が身体に馴染むようペースを上げ続けるようにアドバイスしたら、Sさんがものの見事に短いセッションを合計すると56周走って56周目にベストラップ。そのパターンを繰り返せばもっと速くなりますよ、Sさん。

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ユイレーシングスクールが初めての方が3名。サーキットを走ったことのない方が2名。ユイレーシングスクールのカリキュラムはどんな方でも安全にクルマを動かすコツを覚えられます。







第426回 YRSツーデースクール

クルマの運転を学び楽しんでもらうためには、クルマがどうやって動くかを説明し、物理学で動くクルマの操作方法を理論的に解説することが非常に大切だけれど、一方では知識と理論を実際に応用するための練習も負けないぐらい重要だ。ドライビングスクールはそうあるべきだと考える。これはユイレーシングスクールの思想であるけれど、実は80年代に出会ったジムラッセルレーシングスクールカリフォルニア校の校長ジャック・クチュアの考えでもある。
だからユイレーシングスクールは年に2回、理論を実際の走りに結び付ける時間を長くしたいので2日間のドライビングスクール、YRSツーデースクールを開催している。であるから、受講する人にとってはインストラクターと一緒にいる時間の長いYRSツーデースクールが効率が良いことになる。

今年2回目のそれは、1日目が過去に例がないほどの豪雨に見舞われて駐車場が冠水し、2日目も予報はかんばしくなかったけど最終的には秋晴れで、スマホの天気予報を片目でにらみながらの2日間になった。走行時間を増やすための進行をしていたので、つい集合写真を撮るのを忘れてしまったのが悔やまれる。それでも2日目の最後には参加者全員の笑顔が見れたのが救い。


ユイレーシングスクールの全てのドライビングスクールは約40分の座学から始まる。
道具の使い方の話
タイヤのグリップの話
クルマが旋回する時の動き方の話
クルマが嫌う操作の話
もっと話したいことはあるのだけれど

座学で使うイラスト
公開しているユイレーシングスクールの教科書を簡略化したものだ

幸いにも(?)雨
蹴とばしブレーキングとスレッショルドブレーキングの違いを体感してもらう
助手席の参加者は一応に大きな減速Gに驚く
雨でも生産車でもマイナス0.8Gぐらいは達成できる

ルノー組がスラロームを走る
今回に限りガードレールすれすれで練習するフィギュア8は冠水で中止
基礎練習はブレーキングとスラロームとした

左からスラロームを走るクルマがやってくる
右からブレーキング練習のために床まで踏んでいるクルマがやってくる
雨なんか目じゃない

YRSツーデースクール常連のIさんのスラローム
毎回四国香川から来てくれる

今回ユイレーシングスクール参加が初めてのKさんのスラローム
最初のうちはリズムに乗れなかったみたいだけど
次第にステアリングを戻してスロットルを開けるように

Kさんの重量級アウディSQ5がフル加速
音も迫力あるけど速いのなんのって

ブレーキングとスラロームの練習が終わったらオーバルコースにレイアウト変更
イーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習
イーブンスロットルはクルマを前のめりにさせないため
トレイルブレーキングはより高い速度からのターンインに有効だから
安定したコーナリングの要
それにしても路面をたたく雨粒の大きいこと

Nさんのマクラーレン600LTがまるでモーターボート
それでもNさん全開を試していました

午後になると雨は小降りに
ルーテシアⅢRSの先輩IsんをOさんが追いかける
コースはYRSオーバルロング
半径22m直線130m

コース幅は14m
高速道路の3車線より広い
アウトインアウトでもインベタでも練習
クルマの巨大なエネルギーの向きを変えるコツがわかる

2日目の朝は早い
教室が開く前に朝一番でコース歩行
御殿場上空にただよう雲海が印象的で

そこの路面がこうなっているでしょ
だからね
クルマがこうなるから
こうやって対処します

遠くに見えるのが5%勾配のストレートの先にある1コーナー
S字様のコーナーを経て8%の登り勾配のヘアピン
登りは荷重が後ろに移動します
前輪のグリップが低下します
フラットな路面と異なる操作が求められます

コース歩行が終わってから座学
1周880mと大きくないけれどサーキットはサーキット
安全を第一にペースを徐々に上げていきます

サーキット走行の最初はリードフォロー
インストラクターが運転するクルマの後ろについて真似っこしながら走ります
リードカーはサーキット走行未経験者かYRSが初めての方のクルマを借ります
もちろんオーナーは助手席からインストラクターの操作を観察してもらいます

単独走行の最初のセッションは追越禁止
久しぶりのサーキット
初めて走るサーキット
を自分の目で確認します
その後は単独走行のセッションの繰り返し
合間をぬって同乗走行を行います

あらゆる面ですごいクルマでした

1セッションを長くすると進行は楽ですが参加者が集中して運転するには不向き
短いセッションを繰り返します
合間にミーティングをはさんで質疑応答や全般的な傾向対策の伝達

前のグループの走行中に次のグループがクルマをピットロードに並べます
前のグループがチェッカーフラッグを受けたら次のグループのセッション開始
基本的にユイレーシングスクールは昼休み以外の休憩はなし
参加者は自身とクルマと相談して自主的に休みます
とにかく走って経験します
再現性のある操作を意識しながら
反復練習の先にある無意識行動を目指して

FSWショートコースの管理室2階にある展望室からは
ヘアピンを駆け上ったクルマがインフィールドのライトハンダーを抜けるのが見えます

セッション終了でチェッカーフラッグを受けるKさん

KさんがOさんのインを刺します
サーキットでの追越はストレートエンドで
抜くクルマは次のコーナーのイン側にラインを換えて追い越します

メガーヌトレインその1

メガーヌトレインその2

秋の日差しがやさしいFSWショートコース
チェッカーフラッグを受けるKさん
結局Kさんは計測ラップだけで118周を走破
この日最も走ったのはNさんで131周
次いでBMW M3のUさんの129周でした


来年1回目のYRSツーデースクールは3月20、21日(祝日、土曜)に開催する予定です。

スクールの合間に撮影した動画から当日の状況がうかがえます





第153回 ルーテシアRS 筑波サーキットコース1000を駆ける


ルーテシア4RSが来てからというもの、あのヒップラインが気になってしかたがない。理由を聞かれると困るのだけど、あの造形はいい。

で、どうしてもあのヒップライン越しに車載映像を撮りたくて、YRS筑波サーキットドライビングスクールの合間に挑戦してみた。その時の動画がこれ。
※もう少し長いレンズを使って、もう少し後で張り出して撮ったほうがヒップラインが強調できるみたいだから、そのうち再挑戦。

6000キロを超え、おとなしくしてたかいがあったのか、エンジンも軽く回るようになった気がする。燃費も良くなっている気がするし。トランジッションでのピッチコントロールに気をつければ、すごく奥の深い足が体験できそうだし。これからが楽しみ、楽しみ。




第1回 ユイレーシングスクール

 日本でクルマの運転を教えるようになってから、もうすぐ11年。安全に思いどおりにクルマを動かすためのコツを、わかりやすく説明するささやかな活動も二巡目に入っている。この10月までにユイレーシングスクールを受講してくださった方は延べ11,111名。幅広い年齢層の方が、じつに様々なクルマで参加してくれた。

   
 

 今までの受講者の最高年齢は68歳。それ以降70歳になる今年も続けて参加してくれている。60歳で初めてスクールに参加された方はクルマの運転がよりいっそう楽しくなり、70歳になる今年もユイレーシングスクールが主催するスクールレースで孫ほどの歳の若者に混ざって優勝争いをくり広げている。
   もちろん若い人が主流ではある。1年間に10回もスクールに参加してくれた大学生もいた。何度かスクールに参加してくれた方が、免許をとる前の息子さんを連れて受講されたこともあった。20代で初めて受講した青年は、スクールとスクールレースに通っているうちに、四捨五入すると40歳になるオジさんになった。
 
  クルマの運転は楽しい。身体能力が高いからと言って、それだけで運転がうまいわけでもない。反射神経が多少衰えたとしても、そのことだけで運転がへたになるわけではない。血気盛んな若者が感じられないクルマの動きを年配者だから感じられることもある。運転技術満点の熟年者でも、集中力や体力では若い人にかなわないこともある。若い人も高齢者も、ことクルマの運転に関しては年齢や性別に関係なく同じ土俵で運転技術を磨くことができる。運転に興味を持てば、一生クルマと楽しくつき合っていける。
 
  ユイレーシングスクールではふだん使っているクルマでスクールに参加してもらう。クルマはなんでもかまわない。ランボルギーニのムルシェラルゴが注目を集めたスクールがあったかと思えば、スズキのジムニーが倒れそうになりながらコーナリングの練習をした日もあった。何度かのメールのやりとりで安心できたからと三菱デリカスポーツギアという背の高いワンボックスカーで来られた方もいた。
 
  クルマはよくできた機械だ。ポルシェと軽自動車の動力性能には確かに大きな隔たりがあるが、基本的な運転操作に変わりはない。運転が好きならば、どちらも同じようにクルマを動かすことを楽しめる。速くなければ楽しくない、というわけでもない。パワーなんてあってもなくても一緒。クルマを走らせる醍醐味は、クルマが思い通りに動いた時の快感なのだから。
 
  老いも若きも、どんなクルマに乗っていようとも、運転を楽しみたいという意識さえあればクルマは大きな喜びを与えてくれる。クルマは単なる移動の手段ではないし、リビングルームの延長でもない。クルマは大の大人が一生懸命になれるほど大きな存在だ。
 
  確かに名前にレーシングの文字が躍るものだから、特殊な運転を教えるのではないかと敬遠されることもあった。どんな内容なのか問い合わせもたくさん頂戴した。しかしクルマの運転は、走るところがサーキットであれ公道であれ操作自体に変わりはない。違いがあるとすれば、走る時の状況が異なるだけだ。具体的なカリキュラムを説明すると、迷っていた方も全員が受講してくれた。

  ユイレーシングスクールが目指すもの。それは、安全にクルマを思いどおりに動かすことのできる運転技術を身につけてもらうこと。そのために初心者からベテランまで楽しく練習できるカリキュラムを用意している。必要があれば車庫入れのアドバイスもするし、ドライビングスクール卒業生を対象にしたスクールレースも開催している。本格的なレースに参加するためのアドバイスもする。「クルマの運転のことなら任せて」という意味でのつけた名前だ。
 
  運転がうまくなるためには練習が必要だが、目的のはっきりしない練習は意味がない。運転操作についての知識も必要だが、知識と実際の運転が連携していなければ役に立たない。
  せっかくのクルマをもっと楽しみたい。それにはまず、運転に興味を持つことだ。
 
  いつもの交差点を曲がる時。あなたがステアリングを切るとクルマがどんな動きをしたか覚えておいでですか?
 
 
※  今年のドライビングスクールはまもなく終了するが、来年2月、ユイレーシングスクールは赤いルノー トゥインゴGTと一緒に12年目のカリキュラムをスタートさせる。このかわいらしいホットハッチ。ドライビングスクールの先導車として、あるいは教習車として使うためにルノー・ ジャポンが提供してくれたもの。大いに活用させてもらうつもりだ。

ユイレーシングスクール:http://www.avoc.com/







第367回 メガーヌRS加速

メガーヌRSの潜在性能を解き放つため
富士スピードウエイが誇る
全長1475mのストレートの原点で
ローンチコントロールをセット

左足でブレーキを踏みながら左右のパドルを手前に引く
ローンチコントロールスタンバイインジケーター点灯
右足を床まで踏み込んでから
左足を横に滑らす



背中を蹴飛ばされる感覚、はない。

自分を包む空気が、瞬く間に平行移動を始める。

搭載したデータロガーによると
最高速は208.88Km/h
最大加速度は0.581
最大マイナス加速度は-0.973
それにしても
シフトアップで加速度の落ち込みがないというのは
昔からクルマを運転している人間にとっては大きな大きな驚きだ
(グラフは赤線/左スケールが速度で青線/右スケールが進行方向加速度)



※今回の試走は次の条件で行った。
・加速と減速は直線部分のみで行う
・加速は。遅くとも200m看板手前で終了する
・機材操作のため2人乗車で行う

※ここに掲載したデータはぶっつけ本番で十分に安全に配慮した1回だけの試走から得たものです。従ってメガーヌRS本来の性能を表したものではありません。

協力:富士スピードウエイ



※マニュアルシフト編は後ほど




第863回 ヨーイドンをやりませんか?

実は、一時期ユイレーシングスクールを受講した方を対象にスクールレースを開催していたことがある。

1999年に当時自動車メーカー系では見られなかったドライビングスクールを開校した目的はふたつ。ひとつはクルマに興味はあるけど動かすことにはそれほど熱意が湧かない人に運転を上手くなってもらうこと。これが『所有欲から使用欲への転換』。もうひとつは運転が好きな人にもっと運転を上手くなってもらうためにレースを体験してもらうこと。これが『絶対的な速さから相対的な速さへの転換』。

ひとつめの目的は比較的簡単に達成することができた。2000年から筑波サーキットの運営母体である財団法人日本オートスポーツセンター(当時)の委託を受けて年間20回余りのドライビングスクールを開催したから、サーキット走行なんて縁がないと思っていた人が大勢参加してくれた。ユイレーシングスクール流のカリキュラムをこなしてもらえば運転が上手くなり、サーキットもそれなりに走れるようになるのは実証済みだ。

サーキットなんか危ないとか関係ないと言っていた人がYRSドライビングスクールを通じてサーキットを走ることにはまった。ふだんでは出せないスピードで走り、公道では経験できない加速度を感じる。愛車の性能を存分に発揮してあげられる。筑波でもFSWでもユイレーシングスクールの卒業生がライセンスを取得しスポーツ走行にいそしむ光景が繰り広げられた。
それは喜ばしいことなのだけど、こんな声も聞こえてきた。「なかなかタイムが縮まらない」、「だれだれさんに負けた」、「タイヤを換えないとタイムがでないのか」等々。要するにサーキットを走るなら速くなければならないという思い込みが底辺にあった。

しかし何度も言うけど、スポーツドライビングを含むモータースポーツは世界でもっとも不公平なスポーツだ。乱暴な言い方だけど、銭このある人にはかなわない。クルマの改造がその典型。とにかく費用をかければ優位に立てる。しかしそれは、絶対的な速さを追いかけているだけで、必ずしも運転手が速くなることとイコールではないのも事実。

そこで運転を教えている立場上、クルマの速さではなく、運転手の上手さと頭脳が速さの決め手になる場を用意することにした。ヨーイドンで競争して誰の運転が速いか決めようというわけだ。しかもクルマの速さだけでは勝てない工夫を織り込んだ。ただモータースポーツには危険が伴う。だから参加するにはユイレーシングスクールを受講してクルマを思い通りに動かす術を学ぶことをスクールレースの参加条件にした。

こうしてユイレーシングスクールの卒業生を口説き、最初に始めたのがYRSスプリントとYRSエンデューロ。

FSWショートコースのゾクゾクする
YRSスプリント ロードスタークラスのスタート
ショートコースの同時出走は15台までだけど
安全を重視するユイレーシングスクールには特例が認められた


YRSスプリントは強化クラッチをおごる意味がないようにローリングスタートとした。スタートとゴールの興奮を何度も味わえるように予選プラス3ヒート制にした。都合4回もチェッカーフラッグを受けられた。2004年に開催したYRSスプリント筑波の結果を見てもらえばどんなレースだったか想像がつくと思う。
・2004年2月28日開催 YRSスプリント筑波 結果

FSWショートコースの息を飲む
YRSエンデューロ のスタートシーン
オリジナルのルマン式スタートにこだわった
ドライバーがエンジンキーを持って走る


YRSエンデューロは不必要な競争を避けるためにピットインの時間をキッチンタイマーで制限した。ユイレーシングスクールが日本で初めて披露した。早くピット作業が終わってもコースインできないのだから慌てる必要はなかった。速いクルマが勝ってばかりじゃ面白くないし、全開で走ると勝てるのもつまらないから、130分の時間レースとして燃費を気にしながら走らないとガス欠でゴールできないようにした。2005年に開催したYRSエンデューロの結果を見てもらえばどんなレースが繰り広げられていたかがうかがえる。
・2005年7月30日 YRSエンデューロ筑波 結果

YRSスプリントもYRSエンデューロもそれなりに好評を博し、サーキットなんて縁がないと思っていた人やレースなんて危ないといぶかしがっていた人も、他人と競争することにのめり込んでくれた。ロードスターがポルシェに勝つ楽しさを覚えてくれた。ラジアルタイヤでSタイヤより速く走る技術を身につけた。まさに『絶対的な速さから相対的な速さ』への転換だった。

そして最後に始めたのがYRSオーバルレース。サーキットを借りるのはそれなりに費用がかかるから参加費も高くなる。できるだけ手軽に(決して気軽にではない)多くの人にヨーイドンをしてほしいと思っていたのだが、YRSオーバルスクール卒業生に水を向けても「グルグル回るだけでしょ」とか「危ないんじゃない」とつれない。一計を案じてYRSオーバルスクールの開催日に試験的にやってもらった。

結果は。FSWジムカーナ場にパイロンで作ったオーバルコースで8周のヒートレースをしただけで、クルマから降りた参加者は地面にへたり込んだ。走り慣れていたサーキットならそんなことはなかったのだろうが、常に周りにクルマがいて、一方方向にしか曲がらず、長い間横Gに翻弄されるオーバルレースは勝手が違った。
笑いながら言ってやった。「みなさんの運転力はそんなもんですか? 邪まなことを考えて走っていたのではないですか? もっといけると思いますけどね」。

YRSオーバルレースFSWの原点
FSWジムカーナ場に作ったパイロンコースを
息を飲んだまま走る参加者
みんな一生懸命走っていた


それからというもの、広い駐車場にパイロンを並べて作ったオーバルコースでのヨーイドンがユイレーシングスクールの代名詞になった。2004年に開催したYRSオーバルレースFSWの結果を見てもらうと、いかに充実したレーシングスクールが行われていたかが想像してもらえると思う。
・2004年6月13日 YRSオーバルレースFSW結果

と言う訳で、 来年YRSオーバルスクールを受講した人を対象にYRSオーバルレースFSWを再開します。いずれかのYRSオーバルスクールを経験された方はぜひ参加して下さい。運転操作が一皮もふたかわもむけること請け合いです。


次のふたつの動画はYRSオーバルレースFSWのシーン。初めて参加する人はここまでの接戦は難しいだろうから、並走の練習をしたり追い越しの練習をしたり、とにかく無意識に走れるようにアドバイスをします。YRSオーバルレースFSWを開催するコースは幅が14mもあります。高速道路の3車線より幅広です。大井松田からの下りをヒラリヒラリと走るのと同じです。

ユイレーシングスクールを受講してくれた方々が、大の大人が一生懸命になって走るのが好きです。過去にYRSオーバルスクールを受講された方、来年開催するYRSオーバルスクールFSWを受ける予定の方は、ぜひヨーイドンを味わうことを想像してみて下さい。






第862回 ユイレーシングスクールが考える道具とクルマ

クルマはますます大きくなり続け
どんどん豪華になり速くなり
おせっかいを焼きたがるようになった
 
しかしクルマはいつの時代も人間の良き相棒だ
相棒だから一生懸命付き合わなければならないと思う


ユイレーシングスクールの主宰者として、個人的にはクルマはかけがえのない相棒だと思っている。何よりも高校1年の春に軽免許をとって全長3m、排気量360ccの自動車を公道で運転した時だった。間違いなく世界が変わったことを気づかされ、さらにクルマは人間に自由と時間を与えてくれる『人間能力拡大器』だ、一生付き合っていくべき対象なんだと確信した。



以来60年。クルマを相棒として尊敬の念を抱き、相棒とどうやってうまく付き合うかを考え続け、サーキットを走ればまだまだ速くなり、76歳になっても運転を楽しんでいる自分に気づき、改めてクルマの存在をいとおしく思っている。
だから、もっともっとクルマを上手に動かしてあげたい、クルマの性能をキッチリと使ってあげたいという思いが強い。
だから、ユイレーシングスクールに来る人達にももっとクルマを好きになってほしいと思う。
だから、クルマさんと付き合ううえで大切なことを話しておきたいと思っています。



世の中には様々な道具がある。包丁のような単純な道具から、高度で複雑な技術で作られたクルマまで、基本的に人間の営みを豊かにするために道具は生まれてきた。ただ、どんな道具にも使い方がある。使い方を間違えれば道具はその機能を発揮することができないばかりか、人間に牙をむくことさえある。

みなさんは包丁でモノを切る時に引いてきりますよね。なぜ引いて切るほうがよく切れるか想像したことがありますか。
刃物の刃は薄いほうがよく切れるのは広く知られています。しかし包丁の耐久性を考えるとある程度の刃の厚さは必要です。そこで薄くはない刃のついた包丁を引くことで、『人為的に』包丁の刃の厚さを薄くしているのです。包丁の刃の厚みが薄くなるわけがないと思う方は、2011年1月にアップした ルノー・ジャポンの公式ブログ「第6回 道具を使う」 を読んでみて下さい。



みなさんは小学校の手洗い場に並んでいる蛇口から水が滴り落ちているのを見たことはありませんか。おおかたは水が落ちてないのに、中には滴り落ちている蛇口がある。そんな光景です。
たくさんの子供が開け閉めする蛇口ですが、子供が蛇口の使い方を知るよしもありません。今はカートリッジタイプの蛇口が増えたので水漏れは少なくなりましたが、パッキンを使っている蛇口は漏水と背中合わせです。ではどうすればパッキン式の蛇口を長持ちさせることができるのでしょうか。これも道具の使い方の一つです。
水を止めるために蛇口を思いっきり閉めるのは間違いです。いったん蛇口を閉めて水を止めるのはかまわないのですが、その時に力が入りすぎてパッキンを必要以上につぶしている可能性があります。パッキンはつぶれることを繰り返しているうちに厚みがなくなり水を完全に止めることができなくなり、結果として水が滴り落ちることになります。正解は、いったん水が止まったら水が蛇口から漏れる寸前までハンドルを戻す、ことです。

意識してハンドルを戻そうとすると手間はかかるかも知れません。ですが、パッキンがつぶれないように閉めるのが正解だと理解していれば、そのうちに必要以上の力で閉めることはしなくなります。



クルマも運転も同じです。道具としての包丁や蛇口とクルマには大きな開きがありますが、使い方を間違わなければきちんと機能してくれる道具です。ユイレーシングスクールは道具の使い方としての操作を理論的かつ合理的に理解してもらい、それらをたたき台に反復練習できる機会を設けています。全ては道具としての相棒であるクルマさんに気持ち良く走ってもらうためです。

みなさんもぜひユイレーシングスクールに遊びに来て下さい。真剣に遊ぶ方法をお教えします。