YRSメールマガジン

メールマガジンの切替⬇️

YRS Mail Magazine “Go Circuit”


≡≡YuiRacingSchoolpresents≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

            Go−Circuit No.301(1/20/2011発行)

---------------------------------------------------- Taste of USA ----
●クルマを走らせるのは楽しい。思い通りに走らせるのはもっと楽しい●しか
しクルマがなかなか思うように動かない時がある●クルマの運転は簡単そうで
難しい●が、難しいことに感謝しなければならいない●難しいからこそうまく
できた時の喜びは大きい●うまくなろうとする過程がまた楽しい●うまくなろ
うとするから工夫する●今の時代、クルマを使い倒さなければもったいない。
 || Proud of Our Twelveth Anniversary ||
 》》》Be Smart, Drive Sater, and Drive Faster! You can do it!!《《《
         【 Yui Racing School Offers Serious Entertainment 】
=================================================
|1) 2011 始動
|2) タイヤの回る音を聞きながら(絶対と相対 最終回)	トム ヨシダ
|3) 参加申し込み受付中
|4) クラブ単位、同好会単位のドライビングスクールを開催します

≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
|1) 2011 始動
  2月6日。ユイレーシングスクールの2011年の活動が始まります。
  この日はFSW駐車場に設ける半径22m直線130mのYRSオーバルロンガーを使
ってのオーバルスクールスペシャルです。過去にオーバルスクールを受講され
た方を対象に、定員を16名に限定して徹底的にハイスピードからのコーナリン
グを練習します。
  今回はすでに申込みが定員に達しているので受付は締め切っていますが、ユ
イレーシングスクールは今年もクルマを思い通りに動かす操作とコツを全ての
プログラムで公開していきます。
  まだユイレーシングスクールのカリキュラムを体験していない方は、どのプ
ログラムでもかまいません。一度『クルマってこうやって動くんだ』を体験す
るために参加してみて下さい。

≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
|2) タイヤの回る音を聞きながら(絶対と相対 最終回)	トム ヨシダ

  もちろん、F1パイロットの小林可夢偉選手と同次元で語ることがおこがまし
いことはわかっている。しかし、レース中に「自分の前に道が見えた」とか、
「抜けるという確信がもてた」という感覚を、走っている速度こそ違うかも知
れないが、自分のレース歴の中でも幾度となく感じたことがある。いろいろな
サーキットを走ったが、実際それぞれに『そんなコーナー』がありじぶんの前
に道が開けたのを覚えている。
  カリフォルニア州モレノバレーにあったリバーサイドインターナショナルレ
ースウエイのターン6とターン7の進入も『そんなコーナー』だった。

  SCCSのGT5クラスにKP61のスプリントターレットで参加していた時のこと。
南カリフォルニア地区ではリバーサイドレースウエイ(RIR)が主戦場だった。
CAN-AMもインディカーもNASCARウインストンカップも行われるアメリカ有数の
モータースポーツの聖地。日本ならさしずめ鈴鹿サーキットみたいなものだ。
  SCCAの6時間耐久レースではロングコースを、通常のレースではショートコ
ースを使っていた。両者には、ターン7を回ったあとで180度向きを変えてター
ン8に向かう最も長いレイアウトと、左回りのターン7の直後に右回りのターン
7Bを回りバックストレートにショートカットする最も短いレイアウトとの違い
がある。従って、どちらのコースもターン7までは同じだ。

  RIRを速く走るのにはターン6へと続くエッセスを5速全開で駆け抜けられる
かが鍵となる。

・リバーサイドレースウエイ エッセス
http://jpgmag.com/photos/454156
http://farm5.static.flickr.com/4008/4301170611_d0a235547d.jpg
http://www.royhooper.com/gtpcrash.htm
http://www.youtube.com/watch?v=4Bxz_hAXc9I&feature=related

  高さ2メートルほど、厚さ4センチぐらいの鉄板がコーナーのアウト側をグル
リと取り囲む最終コーナー(ターン9)を3速全開で抜けると、1コーナー手前、
スタートフィニッシュライン近くで5速に達する。そのまま全開で1コーナーを
クリアし、続くエッセスに備える。
  ひとつめの右コーナーの手前でスロットルを緩め、短く軽くブレーキペダル
に足を乗せてフロントを落ち着かせる。その状態からスロットルを全開にする
と同時に「曲がろう」と意識すると、それだけで、5速全開の速度だからフロ
ントとリアに同時にスリップアングルが生まれ、クルマがアウトに流れ始める。
ほんのわずかステアリングを切り足す。左後輪が路面を捕まえながらフロント
が右に向いて行く。このひとつ目をうまく回らないと、次ぎのコーナー以降の
ラインに乗ることができない。
  クルマの向きを視界に入ってくる情報より少しだけ舵角を維持し続け、ステ
アリングを戻すと同時にロールがゼロにるように心がける。
  5速全開の区間のそれぞれのコーナーは、ラインをひとつ間違えるとスロッ
トルを戻さなければならなくなる。単位時間あたりの移動量が大きいから、ス
ロットルを戻して失速してしまってはタイムロスになる。舵角もクルマの流れ
る量に応じて加減しないとクルマのバランスを崩すことになる。
  そんな、区間的には費やす時間も長いが、けっこう緊迫した状態が続いた後
に現れるのがターン6。
  5速全開で、決して広くないコースをヒラリヒラリと駆け抜けて、ターン6で
は2速までシフトダウン。4速、3速に落とすのはターン6手前で左にコーナリン
グしている最中という、ちょっと日本ではお目にかかれないレイアウト。
  ターン6手前のブレーキング区間こそフラットだが、ターンインするころに
はかなりの上り坂になる。しかもインにつこうかというところで再度路面がフ
ラットになるという、平面図を見ただけではその姿は見えてこない。
  アウト側に並んだ赤白の、ベニア板でタイヤをはさんだ4層の緩衝材にどう
しても目が行ってしまうターン6も『そんなコーナー』だった。

  何度かターン6の進入で上のクラスのクルマのインにもぐり込んだことがあ
る。相手のラインを踏むわけではなく、相手を押しのけるわけでもなく、相手
より速度を落とさずに早めにインにつくようにターン6を駆け上がるライン。
  ターン6にそびえるスタンドから人の走りを見ていても、ターン6に対してき
ちんとブレーキングを行い、まるで平面上では狂いのないアウトインアウトの
ラインを通るドライバーが多い。確かにアウトインアウトのラインはドライビ
ングのセオリーには違いないが、アプローチが上りのターン6では勢いが殺が
れるようでもったいない気がしたものだ。
  もちろん、ブレーキングで速度を落としすぎずにアウトいっぱいからターン
6に進入するドライバーもいるが、それは少数派だ。
  ターン6を立ち上がり、下って上って下って上るストレートに出れば上のク
ラスのクルマに抜き返されるのはわかっているが、ライバルに比べて圧倒的に
練習量の少ない自分にとって、自動車レースとは『抜ける時に相手を抜く』こ
とだった。

・リバーサイドレースウエイ ターン6
http://ll.speedhunters.com/u/f/eagames/NFS/speedhunters.com/Images/Mik
e%20Garrett/ASM%20Fuji/rir5.jpg

  同じクラスでもスターレットよりストレートを速く駆け抜けるクルマもいる。
それはそれでいたし方がない。誰もが車両規定で許される範囲いっぱいまでチ
ューニングできるわけではない。相手より道具が劣っていたとしても、それで
も相手に立ち向かう。それが少なくともモータースポーツの精神。
  レース結果で負けても、ラップタイムで追いつかなくても、相手に勝負を挑
むことができれば、挑むことで自分とのせめぎ合いができれば、それがモーター
スポーツの価値。

  ターン6を立ち上がり、速いクルマに抜き返されながらもターン7を目指す。
上下の加速度を感じながら4速まで加速すると、コースの先が見えなくなる。
と言っても、コースがなくなっているわけではない。ターンインまで上ってい
るけど、その直後に左回りにかなり下っているターン7がその正体。リバーサ
イドレースウエイを走るまでは、サーキットに縦のブラインドコーナーがある
なんて思いもよらなかった。
  自然の地形をそのまま残したコースは、それはそれで走っていて楽しい。
「その昔、ロードレースが文字通りロードレースだったころはこんなとこで競
争していたんだろうな」と得をした気分。
  JAFのコース査察を受けたら、まず通りそうもないターン7も、自分にとって
『そんなコーナー』だった。

  ブレーキング区間が上りになっているから、スロットルを閉じるのが早いと
失速してしまう。かといってブレーキを遅らせすぎると、ブレーキングの最後
で路面がフラットになり、そして下りになってインに寄れなくなってしまう。
  上りだから最大傾斜線に平行にブレーキングしないとクルマのバランスを崩
す可能性があることはわかる。しかし、だからと言ってブレーキング中ずっと
直進状態を保っていなければならないわけでもない。要は必用なだけちゃんと
減速ができれば、ブレーキングの終わりには速度が落ちているのだから、タイ
ヤにも余裕が生まれる。その分を使ってクルマの向きを変えても間違いではな
いはずだ。
  そんなことを考えていたわけではないが、制動性能がほぼ等しいGTカテゴリー
なら、上のクラスのクルマのインにも入れる。そんなコーナーだった。
  もちろん、上のクラスのクルマにはストレートで離されているから、ブレー
キングで相手に近づき、相手にラインを閉めさせることぐらいしかできること
はない。しかし、ストレートでついていければ話は別。ターン6から準備して
おくと、まず間違いなく先行するクルマにターンインで並ぶことができた。
  確かに先は見えないし、ブレーキングの時には身体が重くなるのを感じるか
と思えば、ブレーキングが終わりそうになるとクルマが軽くなったような気が
するから、慎重になるのはしかたがない。
  しかし、だからと言ってこれだけアップダウンのあるコーナーを、例え平面
的には正解なラインでもそれに従う必用があるのだろうか。タイヤのグリップ
の範囲内であれば、コーナーの進入で試してみることこそモータースポーツの
醍醐味だと思うのだが。

・リバーサイドレースウエイ ターン7
http://www.rumbledrome.com/images/rivside.jpg
http://picasaweb.google.com/SB.Alfaholic/RiversideInternationalRaceway
#5244603257480912322

  当時、レースに勝てばコンティンジェンシーマネーがもらえて家計の助けに
なっていたから、レースで勝ちたいのは山々だった。奥さんもレースに勝つと
ご機嫌だった。
  しかし、ようやく到達した自動車レースに参加していて楽しかったのは、間
違いなく相手と競争することだった。その瞬間、瞬間を切り取れば、レースの
結果には表れない勝ち負けがあった。自分がそれを演じることができるのが、
走っているのに笑ってしまうほど嬉しかった。

  ターン9の進入でも先を走るクルマに追いついたり、インから横に並ぶこと
ができた。鉄板に囲まれた長いコーナーだから用心したくなる。しかも4速で
入って中で3速に落として全開。
  しかし、誰もが常に全開で走れているわけではない。競り合っている時など、
全開にできない時間のほうが多いような気がする。だから、自分から仕掛けな
ければ事態は動かない。

・リバーサイドレースウエイショートコースオンボード映像